呼吸する壁

室内の空気を常にきれいに保ち、湿気を壁内にとどまらせない「呼吸する壁」。
理想の壁構造である土壁に近づけるため、少なくとも透湿通気する材料を選びます。可変透湿気密シート「インテロ」の効果により、冬には室内の湿気を壁の中に入れず、夏には壁体内の湿気を室内に排出させます。
これにより壁体内にカビを発生させません。充填断熱には調湿と防音に優れた木の繊維「ウッドファイバー」がおすすめです。また、内装下地材として「バウビオT」をプラスすることで調湿作用が増し、室内がさらにカラッとします。仕上げには壁の呼吸を妨げない塗り壁や和紙、または呼吸する壁が理想です。

可変透湿気密シート・インテロ

日本の高気密高断熱住宅に不可欠な可変透湿気密シート。冬は湿気を通さず、夏は通します。
住宅の気密性を確保して湿気を自動的にコントロールするドイツ製のシートです。
「そらどまの家」に欠かせないマストアイテムです。

木の繊維断熱材・ウッドファイバー

断熱、熱緩和、吸音、防音、耐火、調湿機能を兼備え、木でなければ持ち得ない特性をもつ木質繊維断熱材です。
2009年より北海道産針葉樹の間伐材チップを利用して「株式会社木の繊維」が生産しています。

調整湿材・バウビオ

湿度の高い日本の住宅には土壁が最適です。しかし、断熱性能、コスト、工期などの理由で、土壁工法は減少傾向に。それに代わる建材が「現代の土壁・バウビオ」です。調湿+消臭効果もある優秀アイテムで、老人福祉施設などで使用されたケースでは「特有な匂いがしない」との報告がされています。注意点は、調湿効果の高い材料を使用しても仕上げ材により効果が軽減してしまうことです。呼吸を妨げない仕上材をお勧めします。外周部、内部下地に採用すると効果的です。

もう一つの断熱材 遮熱シート・ラミパック(屋根・壁)

「もう一つの断熱材」がアルミ箔製の遮熱シート。熱そのものを鏡の様に反射し、夏は熱の進入を防ぎ、冬には室内の熱の流出を防ぎます。
断熱材は空気を閉じ込めて「伝導」と「対流」による熱伝導を抑え、熱伝導全体の30%~40%を抑えることができます。熱伝導の60%~70%の「輻射熱」(熱放射)を遮熱シートで制御すれば100%の断熱効果が期待できます。
壁を必要以上に厚くする事なく十分な断熱効果を得られます。

呼吸する内装材 ベストアイテム

Best1 塗り壁

素材的、意匠的に「塗り壁」をおすすめします。「新そらどま」の本に記載されたデータでは「吸湿量、放湿量」とも値が高いです。様々な塗り壁が存在しますが、モデルはコスト的に採用しやすい「オンザウォール ナチュレ」。珪藻土が配合された天然系の材料で構成。その他にコストをさらに追及した「プレーン」とクラック強化した「ファイバー」をラインナップ。目的に合わせてセレクトしてください。

Best2 土佐和紙壁紙

「和紙」もお勧めです。
塗り壁に匹敵する「吸湿量、放湿量」を有しています。意匠的に和室向きかと思われますが、洋室に向いたシンプルなタイプもあり、オールマイティーに使えます。

Best3 ルナファーザー

100年にわたりドイツで愛用されてきた「壁紙」です。紙と紙の間に木片を梳き込み、凹凸模様による光と影のコントラストがシンプルさの中に美しさを表現。強靭でしなやかな紙からできており、摩擦や衝撃に強く耐久性、通気性、透湿性に富んでいます。従来品は最終仕上げに自然塗料で仕上げが必要でしたが、塗装タイプの発売により使いやすくなりました。将来的に上塗りが可能で、DIYでイメージチェンジも容易なのも特徴です。

Best4 コットンソフィーナ

バウビオの生産元、日本インシュレーション株式会社のHP上でバウビオの仕上げ材として推奨しているコットン繊維を使用した壁紙が、トキワ産業の「コットンソフィーナ」です。優れた通気性、透湿性能を持っています。
コストダウンしたい場合にお勧めです。

Best5 バウビオの上にシーラー処理

バウビオの上にシーラー処理を施すという施工方法もあります。どうしても「バウビオ」は外したくない、でもコストダウンしたい場合におすすめです。
シーラー処理が独特な風合いをもたらしますが、施工時にビスが目立つ難点があります。

呼吸する壁の構造

土壁の調湿は桁違い

ここにご紹介するデータ(「チルチンびと」22号、2002年より引用)は、建築家の金田正夫氏が実測した、群馬県にある湯本家の木造3階建て土蔵造りの民家です。この民家2階「長英の間」の、室内温度と湿度にはとてもすばらしいものがあります。
外気温の変化とは異なり、乾球と湿球が平行しています。外気温は乾球と湿球が夜間には、ほぼ同じ、昼間は開いています。この違いは土壁が夜間になると湿気を吸い込み、昼間になると吐き出していることを物語っています。土壁の吸放湿力は、吸着と毛細管現象の両輪であるため、ほかの材料に比べてたいへん大きな力を発揮します。

防水・透湿シートの検証

なぜ、気密にしなければならないのか

日本の伝統民家は、土の無垢の壁か木の無垢の壁でした。すなわち空洞がなかったのです。もし、空洞をつくり、そこに通風がなく、湿気と栄養分(有機物)があればどうなるでしょうか。それは、家を閉め切ったままにしておいた状態と同じです。たちまちカビだらけになりますよね。それだけを根拠とすれば、気密にしない方がいいのですが、冬に室内の湿気が壁の中に入ってしまったら、高い湿度になりカビが生えてしまします。また、すきま風で寒くなるだけです。痛し痒しですね。
そこで、考え付いたのが「可変透湿気密シート」なのです。冬は不透湿、夏は透湿。そのような人間に便利なシートをつくったのが、さすがドイツの技術でした。ドイツでも、最初は気密をしていました。ところが壁の中がカビだらけになってしまったのです。その現象を解決するための技術が「可変透湿気密シート」です。残念ながら日本ではまだ開発されていません。
ここで、とても大切なことがあります。このシートは水蒸気が空気中に含まれる量によって反応しますので、シートの張り方が重要です。隙間なく張ることができなければ、その効果は皆無となってしまいます。つまり、水ほどの重さに耐える必要はありませんが、水が漏れないように施工する必要があるのです。
さらに、気密には大変大きな効果があるのです。ロックウール断熱材が厚さ14cmで入っている1㎡に壁に、1mm×1mの隙間があるだけで、ないときの4.8倍の熱量が流出し、800gの水分が流入するのです。気密の影響は驚くほど大きいですね。
気密な施工を実現するためには、専用の気密テープを併用します。ホッチキスのようなステープルで打ち止めただけでは、固定ができても気密が守れていないからです。「テスコン」というテープは、テープの上にテープが接着できるため、重ね合せて気密を取る配管回りや、バルコニーの手摺と外壁との取り合いなどに信頼性をもって使うことができます。日本のテープは、ガムテープのようにテープの上にテープが巻いてあるくらいですので、テープ同士の接着は不可能なのです。

バウビオT 厚15mm+可変透湿シート「インテロ」
サッシは樹脂サッシ+Lo-Eペアガラス

ホウ素系木材保存剤・エコボロン

木造建築の大敵は、腐朽菌による木材の腐れ、あるいはシロアリによる蟻害です。これを生物劣化といいます。生物劣化は耐震性と住宅の資産価値を大きく低下させます。腐朽菌によって木材の質量が10%減少すると、強度は40%低下すると言われています。
沖縄では、家のまわりに琉球松の杭を埋め、これを餌にしてシロアリの被害から家を守っていました。都市部ではこのようなことは不可能なので、基礎や土台、柱の下部に防蟻剤を塗布するのが一般的です。蟻害や腐れに強いといわれているヒノキやヒバに使用することもありますが、性能が十分とはいえず、しっかり対策するには薬剤処理が必要となります。
欧米では優れた安全性と持続性から防蟻剤として「ホウ酸塩」が広く使われています。「ホウ酸塩」はアメリカのカルフォルニア州などで採掘・精製される無機質の鉱物です。揮発しないため空気を汚すことがなく、効果が長期持続するのが特徴です。
植物にとってもホウ素は必須微量栄養素です。人は野菜を食べたり、水を飲んだりすることで、ホウ素を摂取しています。このためホウ酸塩の急性経口毒性はとても低く、食塩程度です。一方、シロアリなど腎臓のない下等生物などが摂取した場合、代謝がストップし、餓死します。ホウ酸やホウ砂が洗眼用として薬局に置かれているのは、「細菌に効いて人に優しい」という作用を利用したものです。
今までの防蟻剤は揮発性でシロアリを攻撃するものが一般的でしたが、効果は最大5年と短期間でした。「エコボロン」は無機物「ホウ酸塩」を浸透させる事で、その効果は半永久的で空気を汚しません。 ホウ酸塩は目薬などにも使用され安全性が高く、特に「そらまどの家」では、「そらまど換気」により空気がどま(床下)を通過し、室内に送り込む仕組みなので、揮発性のものを使うと、防腐剤が人体に送り込まれることになります。当社では、全棟「エコボロン」を採用しています。浸透性なので5年ごとの再処理は必要ありません。